管理人の真弓知也です。人見知りで富士額な男です。よろしくどうぞ。
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(1)ヒーリングミュージックと同質の原理

「音楽で本当に癒されるのか?」という疑問についてのお話です


明確な定義とはいえないかもしれませんが、音楽にはヒーリングミュージックというジャンルがあります。皆さんは何か辛い局面に立たされた時、ヒーリングミュージックを聴いて心を楽にしようとしたことがあるでしょうか? ある人もない人も、共通の認識として「心が辛い時は癒し系音楽」というような考えを、多かれ少なかれもっているのではないかと思います。

しかし、管理人の経験では人生の辛い局面で癒し音楽に癒されたことはあまりありません。例えば上司に腹を立ててイライラしている時や、失恋の直後などに癒し音楽を聴いてみても一向に癒されませんし、それどころか何だか不快な気持ちになります。

かといって普段から、まったく癒し音楽に癒されないのかといえばそういうわけでもありません。普段は綺麗で繊細なオルゴール音楽や、森や小川を思わせる自然な音楽を聴けば、何だか心が洗われたような気がして何でも許せてしまいそうな気持ちになります。このように癒し音楽には、どうやら心に有効に働く時とそうでない時があるようなのです。

前述は個人的な経験談ですが、これと似たような経験をもつ方は意外と多いと思います。なぜこのようなことが起こるかといえば、ひどく落ち込んでいる時に人から「頑張れ」「元気出せよ」などと励まされても、逆に辛い気持ちになるのと同じことで、落ち込んだ時に明るい音楽を聴いても心がそれを受け入れることができないからなのです。つまり薬に使いどころがあるように、実は音楽にも使いどころがあるわけですね。

例えばの話ですが、胃がムカムカする時に鎮痛剤を飲んでもなおさら胃を荒らすだけで何の解決にもならないように、音楽にも心の状態によって聴くべき曲調というものがあり、何でもかんでも癒し音楽を聴けば癒されるというわけではありません。

実はこの現象は、精神疾患の治療に音楽を用いる音楽療法の分野では「同質の原理」と呼ばれ大変重視されており、対人恐怖・視線(脇目)・赤面症やあがり・鬱(うつ)・不安神経症・自律神経失調症・パニック障害・強迫神経症・社会不安障害(SAD)などの神経症の治療に重要な役割を果たしています。

この同質の原理と呼ばれる理論は、アメリカの精神科医であるアルトシューラー博士が1952年に発表した理論なのですが、その具体的な内容は、「音楽によって病気の治療を行う場合、用いる音楽は患者のその時の気分と精神テンポに合った曲が有効である。そうすれば、患者はその音楽を受け入れ、音楽が患者にとって有効に作用する」というものです。

解りやすくいえば、「失恋した時は失恋の曲」「落ち込んだ時は暗い曲」といったように、心が辛い局面では自分の今の気持ちを代弁してくれるような曲を聴くほうが、心と音楽が同調し心理的なストレスを吐き出す効果があるということです。

つまり、どんな時も癒し音楽を聴いて癒されようという考えは間違ったものであり、その時々の精神状態によっては聴いている音楽を心が受け入れることができず、かえってストレスになってしまうのです。

しかし、だからといって暗い気持ちの時には暗い音楽を聴き続ければ良いのかといえば、これもまた極論であり誤りです。なぜなら暗い気持ちの時に暗い音楽を聴き続ければ、その気持ちから抜け出せなくなってしまうからです。