管理人の真弓知也です。人見知りで富士額な男です。よろしくどうぞ。
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(2)半身浴の癒し(リラックス)効果について

半身浴の癒し(リラックス/ストレス解消)効果のメカニズムや、半身浴後の睡眠導入効果などについて解説しています。


前ページでもちょっと触れましが、半身浴は全身浴にくらべ体にかかる水圧の負担が少ないことから、心臓や呼吸器への負担に健康上の不安をかかえる方やお年寄りに適した入浴法です。

この「心臓や呼吸器への負担が少ない」という特徴は、半身浴の話が出ると必ずセットで語られますので、半身浴の最も優れた長所のようなイメージがありますが、実際のところ体が健康な方にとってはそれほど特筆すべき利点というわけではありません。

しかし、この特徴も「体は健康でも心が不健康」という方にとっては、それなりの意味があります。例えば、ストレスが原因で自律神経失調症や心身症を患ってしまい、「普段から心臓がバクバクする」「なんだか呼吸が息苦しい」という方達にとって、心臓や呼吸器への負担が少ない半身浴はとてもおすすめなのですが、ストレスで苦しんでいる方達に半身浴がもたらす恩恵は、実はそれだけではありません。まずは下記のグラフをご覧になってみてください。

半身浴と全身浴のストレス変化のグラフc

左のグラフは、東京ガス都市生活研究所が行った実験です。

実験内容は、“40度の湯に全身浴5分” と “38度の湯に半身浴20分” を比較し、ストレスの低下度を調べるというものです。

実験結果は、入浴前のストレスを1とした場合、全身浴は0.9弱に、半身浴は0.65程度となりました。

上記の実験結果では、入浴前後でどちらにもストレスの低下が認められますが、ストレス低下度としては半身浴20分の方が大きく、その抗ストレス効果を証明する結果となっているといってよいと思います。

この結果のみならず、半身浴の癒し効果についてはすでに多くの専門家も認めるところですので、正直これを利用しない手はありません。このカテゴリーでは、癒されるためのおすすめ半身浴実践法などもご紹介したいと思いますが、まずは、この優れた癒し方法の効果の秘密などについてお話させていただこうと思います。

半身浴で癒される秘密は体温の変化

これ以降は、半身浴の癒し(リラックス)効果の仕組みについてお話させていただきたいと思いますが、その話に入る前に、まずは私達の体の中で重要な役割りをしている自律神経についてご理解いただかなければなりません。下記に簡単な解説をご用意しましたので、ざっと目を通されてください(※もし面倒な方は、「副交感神経が優位に働けばリラックス、ストレス解消の状態」「交感神経が優位に働けば緊張、興奮の状態」という感じにお考えいただければよいです)。

自律神経についての簡単な解説

自律神経とは、交感神経と副交感神経の二つの神経系からなり、私達が意識していなくても体のさまざまな指令を出している神経のことです。

この二系統の神経は、それぞれに別々の方向性の役割りをもっており、交感神経は、労働・闘争・運動などの場面で優位に働き、副交感神経は、体や脳がリラックスしている場面で優位に働き、主に体を回復させる働きをします。

そのため、私達は交感神経が優位に働けば心に緊張や興奮を覚え、副交感神経が優位になるとリラックスするといった体と心の仕組みをもっています。

副交感神経についてはもう少し詳しく解説したカテゴリーもありますので、もし興味がある方はご覧になってみてください。
「副交感神経を活性化(ツボ/食事)」のカテゴリーメニューへ >>

私達にとって入浴という行為は大変気持ちのよいものであり、ごく普通の習慣です。しかし、自律神経にとってみれば、お湯につかるという行為はある意味異常事態なのです。どういうことかといいますと、自律神経はさまざまな生理的パラメータを調節する役割りを担っているため、お湯につかることで体温が上昇した状態を「パラメータが狂っている」と判断するわけです。

この時、自律神経は体の状態(体温)を一定に保とうと働きはじめるため、結果として副交感神経の働きが優位になります。そのため心理的にはリラックスした状態になるのですが、実はこれが私達がお風呂で癒される理由というわけなのです。

しかし、状況によっては副交感神経が優位に働かず交感神経が優位になってしまう場合もあります。それは湯温が高すぎる場合です。通常、体温が上昇すれば副交感神経が血管を拡張させて熱を体外へ逃がそうとするのですが、あまり湯温が高すぎると、交感神経が優位に働き皮膚の毛細血管を収縮させます。これは体外の熱を体内に入れまいとする皮膚の防御反応です。

こうなってきますとリラックス効果が得られないばかりか、皮膚が赤くなるまでお湯につかっていても皮膚の防御反応により体の表面しか温まりませんので湯冷めしやすくなります。さらに血管が収縮しているため血行促進の効果も得られない上、血圧が上昇しやすくなりますので入浴中の心臓への負担も増加します。これではせっかくの入浴タイムが台無しになってしまいます。

では、一体どのくらいの湯温が適当かといいますと、これは38℃~40℃ぐらいが適当です。内科医であり温泉療法にも詳しい、「NPO法人 浴育研究機構」の植田理彦(うえだみちひこ)理事長は「湯温が42度以上になると交感神経、42℃未満は副交感神経が優位になる」と話しています。

日々のストレスを軽減する方法として半身浴を捉えた場合、湯温というのはとても重要なファクターなのです。

☆ ~ ワンポイント ~ ☆
WEB上の情報では、交感神経が優位になる温度がサイトによってわりとマチマチですが、温泉療法などに詳しい医師の方や入浴に詳しい研究者の方などの、いわゆるその道のプロの方ほど交感神経が優位になる温度を42℃と明言されています。

半身浴は無害な睡眠導入剤

ここまでのお話で、半身浴がとても優れた癒し方法であることがご理解いただけたと思うのですが、実は半身浴の癒し効果はお風呂に入っている時だけのことではなくて、お風呂を上がった後にもあるんですね。それは何かといいますと体温低下の過程にみられる催眠導入効果です。

簡単に言うと、半身浴をした後は眠くなるということなんですが、これはなぜかといいますと、人間の体は体温が低下するときに眠気を感じやすくなり、体温の低下の幅が大きいほど上手く眠りにつくという性質をもっているからです。

流れでご説明しますと、まず半身浴でゆっくりと温まることにより筋肉はほぐれ血行も促進。これにより一日の体の疲れが癒されます。さらに副交感神経が活性化することにより心はリラックス。すると、お風呂上りは心身ともに安心モードに入ります

この安心モードと、体温の低下による睡眠導入効果により、お風呂上りの1時間後ぐらいにはとてもよい眠りが得られます。よい眠りは、睡眠中の心身の回復を促進しますので、体の疲れと心のストレスの両方を癒してくれます。

このように、半身浴はお風呂を上がった後も、効果的に心を癒してくれるのです。

さて、効能効果のメカニズムについては十分ご理解いただけたと思いますので、次ページでは半身浴の実践方法をご紹介したいと思います。色々な配慮が盛り込まれた入浴方法ですので「半身浴のやり方なら知ってるよ」という方も、ぜひ一度ご覧になってみてください。